運命1

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半袖と長袖の人が混在するこの季節。 生温い風が、ヒールの折れた私を馬鹿にするかのように、私の頬を掠める。 今日は、半袖の人が羨ましいくらい暑いのに、バランスの悪い足元では、余計汗をかきそう。 「あんた、家どこ?」 先程別れたばかりのイケメンさんが、ビニール袋片手に、いつの間にか追いついていた。 「あ、あのすぐそこなんで……」 この人も半袖で、筋肉質の腕を覗かせていて羨ましい。 なんて頭で、そんな事を考えている場合じゃない。 この流れだと、送ってくとか言われそう。 「んじゃ、案内して!」 と言い、視界から消えた。 えっ!? このしゃがんだ体勢は……。 「早くして!」 「えっと……おんぶですか?」 「それ以外に何かある?」
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