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学年主任の先生から簡単な注意事項が説明された後、教室の前側のドアから黒服姿の集団が入ってきた。
その中でも、ひと際目立つ金髪の女性。モデルのようなスタイルのその女性は美しい髪をなびかせながら壇上に立った。
『皆さん、こんにちは。㈱ワールド・クリエイト広報のシエルと申しマス。まずは、世界初の転送型オンラインゲームへのご参加ありがとうございマス。日本中の高校生を対象にした先行公開をお楽しみ下さいマセ』
青い瞳と目が合うと彼女は口角を持ち上げた。
『当ゲームは、影山教授監修のもと、HAL社、滝澤コーポレーション、㈱W・クリエイトの共同開発で完成いたしマシタ。ゲームタイトルは【Kill Time】デス。ゲーム目的は不明。プレイヤーの皆様ご自身で見つけ出し達成する喜びを感じて下サイ』
誰かが後からオレの肩を叩いた。
「蓮、昨日もネットで色々調べたんだけど、やっぱり変だよこのゲーム」
こっそり話し掛けてきたのは哲二だった。
「何かあったのか?」
「いま挙がった会社の社員が今年に入って十人以上も行方不明なんだよ。あの滝澤の父親も一年前から消息がわからないみたい」
「本当かそれ?」
「確かな情報筋の話だから、本当だと思う」
情報筋?
お前の情報網はどこまで伸びているんだ。
でも確かに気になるな。滝澤の父親が失踪したことは、俺も新聞で読んだ記憶がある。
当時、滝澤はかなり落ち込んでいた。思い起こせば西条や滝澤と話すようになったのはあの頃からか。
そういえば、あいつらなんで急に俺達と組む気になったんだろ?
目的不明のゲーム、開発会社社員の行方不明、日本中の高校生を対象にした先行公開――。
様々な疑問が頭を巡る中、黒服シエルの説明は続けられた。
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