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若い男は武器を手にして、血を流していた。
自分のものなのか敵のものなのかわからないが、戦闘直後もしくは最中に転位してきたんだ。
一体なぜ、そんな緊急に・・・・・・。
態度や言動からして、知り合いとは考えにくい。
特に女のほうは好戦的だった。
考えにふけっていると、哲二に袖を引かれた。
「蓮、ちょっとこれ見て。ポルン拡大してもらえるかな」
画面に映し出されたのは、ゲーム世界の地図だ。
ポルンは重そうにその地図を持ち上げ広げている。
『柚葉が向かった先は北だろ? 北にはゼノン管轄の傲慢の迷宮があるが、その前にもいくつか行く場所があるぜ』
さらにポルンが地図を拡大すると三つの名称が表示された。
リット砂漠、鏡の森、灼熱の沼。
「この三つのどれかに向かった可能性は高いね」
『いや、違うぜ哲っちゃん。灼熱の沼は、次回イベント準備で閉鎖中だ』
そうなるとリット砂漠か鏡の森か。
「早く二人に知らせて、手分けしよう」
『――あぁぁぁぁ!!』
急にポルンが大声を上げた。
『そういや、以前に柚葉が"鏡の森"を調べてた!』
早く言えよ・・・・・・。
「ポルン、真面目にやんないとGP貰えなくなるぞ・・・・・・」
『わ、わかってるよ。脅迫すんじゃねー! 今、履歴調べるから待っとけ!』
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