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移動した先は木が生い茂っていて薄暗い森のような場所。
富士山の樹海みたいだ。
ここで"オベリスク"っていうのを探せばいいんだよね。
パソコンで見たオベリスクの画像は、てっぺんが四角錐で記念碑のようなものだった。
どの方角へ行こうか迷っていると何かの気配が。
――ザザッ。
【シールド・バット】発動。
私の周りに、蝙蝠ちゃんを出現させた。
「だ、誰かな?」
少し離れた木の陰に誰かいる。
どうしよう。出現する敵は、思い浮かべたものって書いてあったけど。
微かに見える半身のシルエットから体つきのよい男性だとわかる。
強そう……。
自然とグローブを嵌めた右手を握りしめていた。
――くるっ!
あ、ムッキーだ。
木の陰から出てきた大男はムッキーだった。
顔には生気がなく無表情、手には斧を持っている。
『社長ぉぉぉぉ!』
うわっ、喋った!
し、心臓止まるから……。
偽物ムッキーは、斧を振り上げ私に襲い掛かってきた。
――ギィィィン!
蝙蝠ちゃんがその一撃を受けてくれている間に、後ろに回り込む。
『社長ぉぉぉぉぉぉ!』
ひぃぃ、怖いぃぃぃ!
色々な意味で恐すぎる。
【炎球】発動。
堪(たま)らず私は、小さな炎の球を出現させ偽物ムッキーに向け放った。
勢いよく放たれた火の玉は斧を握る腕にヒットし武器を弾いた。
ごめんね、ムッキー。
【氷柱】発動。
落ちた斧を拾おうと、かがみ込んだムッキーの胸元に氷の柱が突き刺さる。
緑色の血液らしきものが飛び散り、刺さったままの姿勢で身動きがとれずジタバタしているムッキー。
『女神ぃぃぃぃぃ!』
苦しむそぶりもみせず偽物は叫び続けた。
きゃー! グロい、グロすぎるよこれ。
自分がやったんだけど……。
【炎球】発動。
氷が刺さったまま暴れ続けているムッキーに向け、先程よりも少し大きめの火の玉が襲う。
メラメラと燃え上がる炎に包まれ、動かなくなった敵。
火葬っていうことで、成仏してねムッキー。
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