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湖の中は、砂漠のオアシスとは思えないほど広く深かった。
捜索開始から数十分。
――おっ。なんか穴があるぜ。
穴を隠すように生い茂る水草を掻き分けながら進む。
丁度人が入れるくらいの大きさだ。
グングニルが引っ掛からないよう、縦にしょい直してから穴に入った。
穴の中は、苔(こけ)のようなものが薄ら光っている。
その光に導かれるように進むと、水面が見えてきた。
洞窟の中に入ったんだな。
水から上がるとそこは岩に覆われた洞窟。
周りは岩肌が剥(む)き出しになっているのに、正面の道は舗装(ほそう)されているかのように平らだ。
――――誰かくる!?
ヒタヒタと不規則な足音が近づいてきた。光る苔が生えてはいるが光が弱く遠くまでは見えない。
「誰だっ! そこにいるのは分かってんだ!」
現れた人影はムチを手にした男のプレイヤーだった。
『た、助けて下さい……じ、時間が……』
男は胸元にある俺と同じネックレスを見せてきた。
――16h03m54s
なんだ、これも文字化けしてんじゃねーか。
『誰でもいいから、早く呪いを……僕、時間がないんですっ!!』
悪そうな奴ではなさそうなので、ムチ男から話を聞いてみた。
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