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奴は水の中に飛び込んで洞窟を脱出した。
最初の通路はギリギリ槍を振れる広さだ。敵が現れてもいつも通りに戦える。
スキル【エア・ステップ】は使えねーけどな。
――よっしゃぁ! 行くぜっ!
気合を入れ、走り出そうとしたその時。
目の前の地面に魔法陣が浮き上がり、プレイヤーが転位されてきた。
なんだよ、今度は誰だよ。
念のためグングニルを構え、矛先をプレイヤーに向ける。
現れたのは小型の弓を背負いレイピアを持った長い金髪の男。
ムチ野郎の言っていたプレイヤーだな。
あれ、コイツどこかで……。
――そうだ。アーツだ!
蓮の話だと弓使いで狂戦士だったとか……。
でも一体何でレイピアなんか?
『貴方は確か……あ、人違いですね』
「違うっ! 一回会ってるぞ。お前アーツだろ?」
『なぜ私の名を?』
だぁっ、面倒クセー。俺は先に進みてーんだ。
だが、そのまま素通りするわけにもいかねーから簡単に説明をした。
『なるほど、有名な下僕チームでしたか。
下僕だけに……おっと、いけない、いけない』
アーツは口を右手でふさいでいた。
何か隠していやがるのか?
「お前、狂戦士なんだろ?」
『えぇ、それは大丈夫です、あれから私も色々手をつくしましたからね。
制限はありますが、今のところスキルさえ使わなければ狂戦士にはなりません』
信用していいのか……怪しいな。
「それで? お前も水飲んで呪われちまったのか」
『違います。自らここに来ました。
このミッション先日配信されたばかりで謎が多いのです。生還率も成功率も0%でしたよね?』
「なんだそれ?、性感? それに"せいこうりつ"ってなんだかいやらしいな」
『……あ、貴方、中々ダジャレのセンスがおありのようですね。下ネタ満載ですが。
ま、まぁ、いいでしょう。
続けます。私の狂戦士の呪いは完全に解けたわけではないので、オシリスに解いてもらおうと……呪い繋がりで』
どういうことだ。狂戦士の呪いを解いてもらうために、オシリスに会いに行くってことか?
「オシリスなら解けるってことか?」
『分かりません、強力な呪いの使い手ならばと。可能性は全て試さないといけませんから』
回りくどい言い方ばかりしやがる。
『それより、一緒に進みませんか。今罠に掛って戻されましたが、途中までなら道は完璧です』
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