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転送された先は塔の入り口。
頂上を見上げようと、後ろに倒れそうになる程体を反らすが見ることができない。
ここは仮想空間だろう。塔以外の景色が一切ない闇。
「蓮、行くわよ」
グラネルを手にする美咲の右腕には赤い植物のツルがふんわりと巻きついている。
スキル【華姫(はなひめ)】だ。
シャークとの戦闘後にレベルが上がり身につけたスキル。
スキルPの消費無しで任意に出せるらしく、その効果は自動防御。
攻撃に対して美咲が認識していなくてもツルが防ぐらしい。
まだ実際に戦う際の動きはみていないけれど。
「ほら、蓮どうしたの?」
「あ、ごめん」
塔の門を潜り抜けると広い回廊が続く。
試しの神殿のような厳かな内装。
その中央には幅3~4m程の巨大な階段が。
《ハムラビの塔プレイヤー三名確認。塔の十五階まで辿り着かなければ帰還することはできません》
十五階か・・・・・・その数字が大変なのかどうかイマイチよく分からない。
「ただ登ればいいのね。簡単じゃない」
簡単ではないと思うけれど・・・・・・。
オレの予想はすぐに当たった。
巨大な階段の脇からギィギィと何かを引きずっている音が聞こえてくる。
哲二のスキル【警戒】はシャークの持つ七色の剣により破壊されて今はない。
――どんな奴が出てくるんだ。
腰元の鬼丸に手をかけ、ゴクリと唾を飲み込んだ。
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