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唐突で一方的な頼みだった。西条や滝澤と組む?
よく見ると、西条の後ろに滝澤 柚葉(たきざわ ゆずは)が隠れるように立っていた。
その童顔と巨乳のギャップが、お嫁さんにしたい子学園No.1の座を不動にしていると修司が言っていたのも頷(うなず)ける。
確か父親が今回のゲーム開発会社の元社長だったはず。性格が正反対の二人だが、お嬢様同士で仲がよいのかいつも一緒にいる。
滝澤はこそこそと西条の前に出た。そして、大きな胸元の前で両手を組みオレを見上げる。
「あのぅ、鷹山くん。急なお願いで申し訳ないんだけど、一緒のチームになってくれないかな。お願い――」
この上目遣いからのお願いは、もしかしたら西条のそれよりも強制力が強いと感じるのは、オレだけではあるまい。
「そ、そうだな。修司に聞いてみないと何とも言えないけど。」
無言のまま滝澤はその大きな瞳でじっとオレを見続けている。
「う、うん、わかった。人数は多いほうが安心だし、何かと協力出来るよな。そ、そうだ、そうだ、修司に伝えとおくよ! い、いいよな哲二?」
背中に氷のような視線が突き刺さるのを感じる。
「やった! ありがとう鷹山君。美咲よかったね!」
「ふん。最初からそう言えばいいのよ。手間取らせないで」
そう言い放つと、西条はツカツカと教室のドアに向かっていった。
こ、こいつだけは。
滝澤は顔の前で両手を合わせ「ごめんね」という仕草をオレらに向けたまま西条の後を追う。唖然としながら二人を眺めていると、出入り口のドアの前で西条は急に立ち止まり振り返った。
「そうそう、登録用紙はもう提出しといたから。チーム名は【美咲とその下僕たち】よ。忘れないで」
マジかよ。
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