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ー*ー*ー*ー
屯所へ戻ってきた咲良と沖田。
「あれぇ…?」
そこで何故か沖田は不思議そうに遠くを見つめていた。
近藤一派が住む前川邸の前に、見知らぬ女が立っていたからだ。
「誰だろう?」
その女は辺りをキョロキョロと見回している。
「道に迷ったのかな?」
「聞いてみよっか」
色とりどりの着物を見にまとった女は、近付けば近付く程優雅さを漂わせる。
「あのー」
「…あ!もしかして…浪士組のお方?」
振り返った女は、思わず溜め息が出る程、綺麗な顔立ち。
「そうですけど」
「よかったぁ…!あんな、うち八木邸に行きたいねんけど…」
「ああ、それならあっちです」
八木邸のある方向を指差すと、女は安心したように胸に手をあて、溜め息をついた。
「此方入ってまわんでやっぱりよかったわ。ありがとうな」
やんわりと微笑む女。
「…?」
―――何処かで見たことある、気がする。
けど、こんな綺麗な人、一度見たら忘れないはずなんだけどなぁ。
ちょっとだけ、見たことある人?
咲良はあやふやな記憶を絞り出す。
「………あ!」
もしかして。
「梅、さん…?」
ポツリと呟いた咲良に、女は目を丸くさせた。
「不思議ですなぁ、なんでうちの名を知ってはりますの?」
やっぱり!やっぱりあの人だ。
…芹沢さんの隣に居た女の人。
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