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「……んだよ。うるせぇな…」
「もう朝餉の時間ですよっ!」
土方は顔ごと布団の中へ潜り込んだ。
「…んー…」
「ほら。はや、っく……!?」
覗いてやろうと咲良が身体を近付けると、強い力で手首を引っ張られた。
「ちょ…っ、土方さんっ!」
「寒い…」
そう呟くと同時に腰に手を回し、ぎゅっと抱き締めた。
「離してくださいっ!」
咲良は腕から逃れようと必死にもがいたが効果無し。
「もう少し…」
「へ!?」
「このままで……」
そんな言葉耳元で囁かれると、くすぐったくて照れ臭くて、動こうにも動けない。
「お、怒りますよ!?」
「てめぇが怒ったところで恐くもなんともねぇよ」
「…ぅー…離して下さいよぅ」
「嫌」
―――土方さんに触れてるとこが熱い。
心臓を鷲掴みされたみたいに、胸がぎゅーって痛い程締め付けられる。
「弘瀬ー…」
「…なんですか?」
「暖かいな、お前」
「……っ!?」
いつになく優しく甘い声色に、咲良の胸は更に締め付けられる。
土方の体温、匂い、鼓動が伝わってくる。
うっすら煙草のにおいもする…。
だけど、何故か嫌ではなくて。
「……」
……寧ろ、なんか良い心地…。
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