女中と仲間

4/15
前へ
/153ページ
次へ
 ー*ー*ー*ー 「頂きます!」 結局抱き締められたまま、眠ってしまった咲良。 いつまで経っても広間に来ない咲良と土方を沖田が迎えに出、二人(主に土方)を叩き起こした。 「…ちっ…」 不機嫌そうに舌打ちしてる土方の頬には、赤い血がうっすらと滲んでる。 「本当になにもされなかった?咲良」 そう言う沖田の手にはしっかりと短刀が握られている。 「…大丈夫です」 「それならいいけど」 「だから食事中に刀を握るのは、止めて下さい」 「咲良をあの助平鬼から守るためだよー」 にっこりと笑っている筈の沖田からは黒いオーラが漂っている。 …恐いよ、総司さん…。 「俺ぁ、何にもしてねーよ」 「じゃあ何故咲良を抱き締めていたんですか」 「それは…」 気まずそうに沖田から目を反らす土方。 「まぁまぁ」 そんな二人の間に割り込んだのは、土方と同じく副長の山南だ。 「総司も土方さんも。仲良くね」 鬼の副長とは対照に、仏の副長と呼ばれ、隊士達の人望も厚い。 「山南さんが言うなら…仕方無いですね」 流石の沖田も諦めたらしい。 短刀はポイッと後ろへ放り投げた。 「これから何かあったら僕に直ぐに言ってね、咲良」
/153ページ

最初のコメントを投稿しよう!

410人が本棚に入れています
本棚に追加