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ー*ー*ー*ー
「頂きます!」
結局抱き締められたまま、眠ってしまった咲良。
いつまで経っても広間に来ない咲良と土方を沖田が迎えに出、二人(主に土方)を叩き起こした。
「…ちっ…」
不機嫌そうに舌打ちしてる土方の頬には、赤い血がうっすらと滲んでる。
「本当になにもされなかった?咲良」
そう言う沖田の手にはしっかりと短刀が握られている。
「…大丈夫です」
「それならいいけど」
「だから食事中に刀を握るのは、止めて下さい」
「咲良をあの助平鬼から守るためだよー」
にっこりと笑っている筈の沖田からは黒いオーラが漂っている。
…恐いよ、総司さん…。
「俺ぁ、何にもしてねーよ」
「じゃあ何故咲良を抱き締めていたんですか」
「それは…」
気まずそうに沖田から目を反らす土方。
「まぁまぁ」
そんな二人の間に割り込んだのは、土方と同じく副長の山南だ。
「総司も土方さんも。仲良くね」
鬼の副長とは対照に、仏の副長と呼ばれ、隊士達の人望も厚い。
「山南さんが言うなら…仕方無いですね」
流石の沖田も諦めたらしい。
短刀はポイッと後ろへ放り投げた。
「これから何かあったら僕に直ぐに言ってね、咲良」
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