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“悪魔の微笑み”
“天使のような悪魔”
そんな言葉がぴったりな沖田。
「はい…」
「いい子だねー」
よしよし、と咲良の頭を撫でる。
…子供扱いされてる?
「てかさー、総司過保護すぎだよ」
身をのりだしながら叫ぶ小さな男は、藤堂平助。
女子のような愛らしい容姿で、誰が見ても実年齢より五、六歳は幼く見えるだろう。
「五月蝿い」
「うわ、総司、酷い。なぁ左之、お前もそう思うよね?」
藤堂は隣に座っていた左之こと原田左之助に同意を求めた。
「あ?知らね」
「なんだよーっ」
ご飯を食べるのに必死な為、素っ気ない返事の原田に藤堂は肩を落とす。
「馬鹿へーすけー」
「馬鹿じゃない!総司の阿呆!」
「平助にだけは言われたくないよ。逆さから呼んだら助平のくせに」
「それはかなり本気で傷付くから止めて!」
…皆喧嘩や言い合いばっかり。
だけど、本当は凄く信頼しあっているのが、見ていてわかる。
お互い、心の底から信じあってるんだね。
だから冗談言ったり、からかったり、出来る。
…そういうのって、いいなぁ…。
“あの日”から人を心の底から信じられなくなった咲良は、羨ましくも、疎ましくも思う。
「咲良?」
笑っている筈なのに、何処か哀しそうな目をしている咲良を沖田は見つめる。
「あの、さ」
「はい?」
「咲良はさ………否、やっぱり何でもないや」
「?変なの」
クスクスと笑う咲良に、沖田の口元も自然と緩む。
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