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私はある日を境に泣かなくなった。
どれだけ悲しくても、
どれだけ嬉しくても、
どれだけ苦しくても。
例えば、転校しちゃう友達のお別れ会の時。
教室で飼っていたペットが死んじゃった時。
誰もが泣いてしまうような悲劇のラブストーリー映画を見た時。
皆が泣いている片隅で、私は只一人泣かず立ち尽くしている。
「咲良ちゃんって冷たいよね」
友達にそう言われたこと、何度もある。
―――違う、違うんだよ。
心はいつも、泣いてるんだ。
ただ、涙が出ないだけ。
それはきっと涙を“あの日”、全て使いきってしまったから。
だから私は泣かないんじゃなくて、
………泣けない。
ー*ー*ー*ー
「咲良、聞いてる?」
「え?」
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