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「あ、と。…前に芹沢さんとお梅さんに町で会ったんですけど…」
その言葉を聞き沖田は、ああ!と掌を合わせた。
「思い出した!あの時の人かぁ。よく覚えてたねー、咲良」
梅は咲良と沖田をジロジロと見た。
「……あ!女中さんや言うてたお方やね!思いだしましたわ」
そして沖田と同じ仕種で、嬉しそうに笑った。
「咲良はん、やんね」
「はいっ」
「改めてうちは梅。ふふ、よろしくなぁ」
そう告げると、梅は上品に頭を下げて八木邸へと向かっていった。
「…はわぁ…近くで見たら、すっごい美人だねぇ」
「そうだねぇ」
「芹沢さんの、恋人かぁ……」
「会いにきたのかな?」
二人は梅の背中を見つめながら言う。
梅の甘い匂いが今だ残っている。
「けどさぁ…」
「ん?」
「咲良の方が可愛くていいよね」
「うぇっ!?」
微笑む沖田に、咲良の頬は紅く染まる。
沖田自身は無自覚だが、咲良にとって今のは殺し文句だ。
「僕、綺麗系より可愛い系が好きー」
「ちょ…っ!?何言ってんの!」
「本当のこと言っただけだよ?」
「……っ」
「あれ?顔紅いよ?」
「なんでもないっ」
―――総司って天然(?)女誑し!?
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