3人が本棚に入れています
本棚に追加
「私と付き合いたいんだったら、明日雪を降らせてよ」
「は?」
顔も知らない男とハモってしまった。
あ。と口を押さえるが、自分で思ったよりも声は小さかったらしい。
気づかれていないようだ。
まだ眠気は僕を誘っていたが、とりあえず会話に耳を傾けた。
「私が好きなら、明日雪を降らせろ。って言ってるの。出来ないなら、今すぐ消え失せて」
「――っ何だよ雪って、頭おかしいんじゃねーのっ!!」
男の叫んだ声と、土を蹴る音が遠ざかって行く。
負け犬の遠吠えって、こういうのを言うんだろうな……。
そんな事を考えながら、睡眠を欲する体に鞭打って立ち上がる。
秋に雪を降らせろ。なんて言う女の子に、ちょっと興味が沸いたのだ。
見つかるのを覚悟で大胆に下を覗き込むと、どこかで見たような顔があった。
最初のコメントを投稿しよう!