貞子

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友人から借りた【呪いのビデオ】とやらをビデオデッキにセットしてコタツに入る。   再生されたテレビ画面には、ただ奥に一つ井戸があるだけという殺風景な映像だった。   何の変哲もない映像を見ること数十秒。   『ぁ゙ぁ゙………ぁ゙あ゙ぁ゙………ぁ゙あ゙あ゙』   テレビのノイズとは違う、女性のうめき声が聞こえた。と同時に、テレビに映っている井戸の中から細い手が出てきた。   その手は井戸の入り口を掴み、ゆっくりと……その手の持ち主の体が這い出てきた。   真っ黒の長髪にやせ細った体型のその女は、井戸から這い出てくるなりコチラに近づいてきた。   そして驚くことに、コチラに伸ばした手が画面を通り抜けてきたのだ。   完全にテレビから抜け、その長い前髪でだいぶ隠れた目で俺を睨む。   井戸から出てきたためか、全身が濡れている彼女から垂れた水滴が俺の服に落ちた。   そして今にも襲いかかってきそうな彼女に、俺は言った。   「君、ずぶ濡れじゃないか……               沸かしておいたぜ。風呂、入ってけよ」   『きゅん///』
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