subconsciousの罠(仮)

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無理やり体を覚醒させたせいで、 「心臓バクバク……」 自室のベッドの上で、しばらく身動きが取れずに心拍が落ち着くのを待った。 何度か繰り返した深呼吸がため息になる頃、ようやくゆっくりと上体を起こす。 が、そのまま前のめりに頭を抱えた。 ばつが悪い気持ちで、手首と髪の毛の隙間から横目でチラリと枕元の時計を見やれば、時刻は午前三時を少し過ぎた所だった。 月明かりだけの濃紺の暗がりの中、気分は更に凹み、大きなため息が落ちる。 悪夢の顔をしていない悪夢の恐ろしさ。 しかも、目覚めても全てが記憶に残っている。 何度となく気持ちを引き締めて来て、今回は覚悟にすら近かったのに。 俺は彼女に仕える執事だと、腹を括った。 そう思った事で、自分の欲は全て心の奥底に沈めた。 だから最近は落ち着いていたんだ。お嬢様に向ける目も。 あの時も、そんな感情なしに自然に彼女の頬に触れられた。 でも結果こうなると、 「……全部そのつもりだっただけか」
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