subconsciousの罠(仮)

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喉は渇いていていたせいではなく、少し腫れているようで、歩きながら気になった頭痛は……。 これ、ヤバくないか? 「夏風邪ですね」 翌早朝、体温計の数字を見ながら五月さんが呆れた顔をして言った。 (後に、病院の医者にも同じ事を言われた) 「昔から我慢して無茶をする性格でしたけど……よくもまぁ、ここまで熱を上げましたね」 「すみません」 今回は気付くのが遅れただけだけど。 「お嬢様の事は私たちに任せて、京介さんは熱が下がるまでしっかり休んで下さい」 お嬢様に風邪を移すといけないしね、と五月さんは俺が無理をしないように釘を刺した。 「……お願いします」 “オカン”の代名詞の様な彼女にそう言われると従うしかない。 「承知しました。ささ、病人は寝た寝た!」 ベッドの上で上半身を起こしていた俺に、五月さんは埃でも叩く様な手つきで横になるように促す。
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