subconsciousの罠(仮)

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振り返りドアの方を見れば、両手で顔を覆い隠して震えている深雪さんが居た。 そして、彼女の隣にはドアを開けたままこちらを見て静止している杉田が居た。 「杉田、ノックした?」 「しました……っけ?」 俺に聞くなよ。 「一旦閉めて、30秒待って」 「分かりました」 バタンと淡白に閉じられたドアに一つため息をつく。 伸縮性だとかの着心地は 時間と体調の関係で今は吟味していられず、とりあえずクローゼットの中の一番取りやすい位置にあった替えのシャツで身を包む。 それでもせめて息苦しく感じないように釦は二段目以降から止めた。 そして今度はこちらからドアを開ける。 「お待たせ」 「具合どうッスか? あ、替えの氷枕持って行くように言われて」 と、杉田は手に持ったそれを差し出して見せた。 「ありがとう。体調は……良いとは言いにくいな」 と、答えると杉田が再び黙して俺の顔をジッと見た。
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