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お嬢様は……十五時から生け花教室か。
彼女の着替えもそろそろ終わる頃。
俺は部屋までの廊下を歩きながら、再度今日の予定を確認していた。
十四時半に屋敷を出るとして……ならば昼食を摂られている間にお着物を用意した方がいいな。
俺はお嬢様の給仕があるから……深雪さんにでもお願いしてみよう。
と、手帳の自分の字と向かい合い時間を逆算していると、
「京介」
と後ろから市川さんに呼ばれた。
「はい、何でしょうか?」
振り返って尋ねると、
「手の空いた時間でいいから、執務室に顔を出しなさい。大事な話がある」
と、少し険しい表情をした市川さんから、そんな言葉が返って来た。
……大事な話?
しかしそんな顔で言われる心当たりを、いくら考えても見付ける事が出来なかった。
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