プロローグ

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「やはり、辞めるか」 課長が、前に立っていた俺を惜しむ様に見上げた。 「はい」 その言葉に、それだけ返す。 課長のデスクの上には、ライト、バッジ、無線機、警戒棒、手錠、そして……警察手帳が横一列に並べられていた。 「これからが、楽しみだったんだがな……」 並べたのは、俺。 「上川は……何て言ってた?」 そう訊ねられたので 「“俺はもう知らねえ、勝手にしろ”と」 言われたままを報告すると、 「直属の部下の退職だというのに……どうしようもねぇな、あいつは」 課長はそう呟き、“やれやれ、全くお前たちは”とばかりのため息をついた。  
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