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手土産のワインは池田にだ。季節先取りで、鍋でもしようなんて言っていたのを思い出す。
会社のバッジをスーツから外し、電車から降り高坂の家に向かう。
池田からワン切りがあったから、相手の男もすでに来ているのだろう。
新しめのアパート。高坂の部屋のチャイムを気軽に押した。
「はい」
中から聞こえた高坂の声に、俺だけどと声をかける。
開いた扉に笑みを浮かべて、肌寒い秋の空気から逃げるように部屋に入った。
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