001:偽りの赤ずきん

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「もっしもーし。そこのお嬢さん」 森の中間地点辺りで、赤ずきんは突然声をかけられた。 白いウサギである。 大きな懐中時計を持った、可愛らしいウサギ。 それでいて胡散臭そうなうさぎ。 起伏に富んだ口調で、 「お急ぎのようですが、どちらまで?」 と悪戯っぽい笑みを浮かべた。 露骨に嫌そうな顔をして、赤ずきんは返す。 「かっ…関係ないわ」 「うん?関係ないなんて…あなた、人付き合い苦手でしょう?」 「知らない女に平気で声をかけるあなたよりマシよ。さぁ、そこを通しなさい。私は急いでいるの」 「その勢いでアルプスの高峰を超えようとして凍死、といったところでしょうか?」 「……」 「ふむ…もしお菓子の国へ行きたいなら、一瞬で行ける方法がありますよ」
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