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“ありとあらゆる魔法が扱える”らしいから、僕はなんとなく分かっていた。
動体視力だって上がっていて、集中さえすれば人のまばたきさえ、止まって見える。だから願いは本当に叶っていることは、あらかじめ知っていた。
多分、戦いになれば、“最強”の定義通りにあらゆる戦闘を体得していることが実感出来るだろう。
だがその中でも“底無しの魔力”は未だに体感できていなかった。
どうも、魔力があるのと扱うことは別物らしく、訓練をしなければ魔力は引き出せないようだ。
よって今扱える魔法は限られていて、せいぜいライター程度の火が杖から出るくらいだ。まぁ、タバコは吸わないけどライターは完備みたいな?
僕が考えている間も水晶玉の中は変化していき、今は小さな海から山が突き抜け陸地へと変貌している最中だった。
てか、僕はあれが出来るのか。恐ろしいわ!
辺りがあまりに静かなため、僕の小さな体を抱える父・ローガンを見る。
案の定、呆然としていて、未だに水晶玉を眺めていた。
「父上、どうかしましたか?」
その声に、ローガンはハッと気を取り直した。
「お、おお! アイリス! 凄いな! こんな現象は有史以来初めてじゃないか!」
ローガンは僕を褒めてくれた。
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