影に立つもの

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 まぁ、彼女も女の子なんだろう。  しばらく歩き、広場から住宅地へと町並みは変わる。町を囲う塀(へい)の門をくぐり抜けて、高草が一部生える草原の一本道をいつもと変わらぬ調子で歩く。  だが、変わらぬものは草原と夕暮れと、時折聞こえてくる虫の音くらいなもので、いつもと違う気配が草原の中に潜んでいるのを感じた。 (ギルド員か……? いや、前の時に一度行ったきり、ギルドには顔を見せていないから…………。ってことは、貴族を狙った強盗か?)  そう思慮するも、相手に気づかれないように数を数えることを忘れない。 (ふむ……? 7人?)  いくら相手が貴族であろうと、少女相手に人数が多くはないか? というツッコミを入れたい。がしかし、それよりも気になるのは自宅の方だ。  僕の住む屋敷には、アヤとハナの2人しかいない。一応彼女らは高位の魔法使いだが、前線に立って戦うことよりも後方で砲台として前線を支援するタイプだ。僕に7人も仕向けるほどの人数が余っていそうな組織なら、あの2人ではどうしようもないだろう。 (……なら、“見て”みないとな。んじゃ、その前に…………)  僕は舗装されていない土が剥き出しの道から逸れ、草原に一歩足を踏み入れてしゃがみ込む。目の前には花があり、僕はその花を笑顔で見つめてそっと撫でた。  その瞬間だった。  僕の花に気を取られている振りを好機と見た気配が、3つほど背後の高草から跳び出してきた。 (っち、慎重だね……!)  保険の4人も逃さず仕留めたいため、僕は反応をあえて見せない。  そして3つの内の2つの気配が眼前へと着地し、目の前の花を踏み潰す。さらに残った1人が背後に着地し、それと同時に僕の背へと片手を当てる。
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