影に立つもの

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 僕はその4人から振り返り、後ろで重なり合っている3人の男たちに向き直る。ちょうど起き上がろうとしているところだった。  僕はその3人へ手をかざし、同様にして呪文を紡ぐ。 「来たれ雷(いかずち)の精、幾重にも集いて敵を捕らえよ、魔法の連弾・麻痺(まひ)する雷矢(らいや)」  手のひらから放たれる雷を帯びた魔力弾は放射状に飛び出し、3人の男たちに降り注ぐ。 「あああっ!」 「うがああああ!」 「ぎゃあああああああ!」  体をほとばしる電撃に身をこわばらせ各々に悲鳴を上げる。『魔法の連弾』は当たったところを縛るように巻きつき、絶えず微弱な電撃を浴びせながら最終的には地面へと縛りつけた。  これで7人すべてを、一応平均的な貴族の子息子女のレベルで捕獲したことになる。 「ふぅ~」  一息つく。それから僕は目の前で重なったまま地面に拘束されている、落ち武者のように頭のてっぺんに髪の毛のない汚い格好のブーツ男に話かける。 「あなた達の目的はなにかしら?」  ギロリ、とその男は痺れながらも僕を血走った目で睨みつけてくる。  男は答える。 「うるせぇ!」 「…………そう。立場が分かってない様ね?」  そういって僕は男の前でしゃがみ、杖を男の首筋に押しつける。 「僕がこの杖に火を灯したら、きっと君は苦しいだろうね」 「……っ」 「さぁ、おっしゃってくださいな」  そう言って僕は杖をさらに押しつけた。 「…………………………」 「……そう、意地でも言わないのね。火よ灯――」 「ま、待ってくれ! 言う! お前を捕まえて売ろうと思ってたんだ!」  ほう、なら彼らは奴隷商か。この国では貧民層の最終的な救済方法として奴隷制度が存在するが、彼らの場合は違法な業者のようだ。  僕は続けて訊く。 「あなた達はその奴隷商の一員ということね? 全部で何人いるの?」 「……さ、32人だ」  ということは残りは25人。結構な数だ。 「もちろん僕の屋敷には手を出してないわよね?」 「あ、ああ! こんな田舎に全員で押し掛けるなんてしてない」  ふぅ~ん。じゃあ、アヤとハナは無事ということか。
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