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年に数回開かれるこの屋敷でのパーティーには全部出席していた。
その時に僕に話しかけてくる人も多く、その背景には人間の欲望が渦巻いていてのことがありありと分かったため、同じ貴族だとは思われたくなかった。それ故に今の口調になっている。
僕は履いている革のブーツを、赤の絨毯でぽふぽふと鳴らしながら扉の前に立つ。
僕は扉を静かに開けた。
「アイリスお嬢様、行きましょうか」
茶髪を三つ編みにしている女中、アヤはにこりと笑い、僕の前を歩いていく。
僕は彼女に先導されながら、地下にある大きな魔法陣の描かれた部屋に向かい、その部屋の中へと入る。
中では僕の現在の父、ローガン・フェルナンドと母、リリン・フェルナンドが待っていた。
魔法陣の中央には台があり、その上には水晶玉が布を下敷きに置いてあった。
僕はローガンとリリンの下へ向かった。
「おはよーございます、父上、母上」
「ああ、おはよう、アイリス」
「ええ、おはよう」
ローガンとリリンは優しく僕に言い、頭をそれぞれ撫でてくれた。
やはり親は親なんだな、と僕は思った。
僕のことをよく気にかけてくれて、懐かしいものを感じずにはいられなかった。
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