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血の気がさぁっと引いていくのを感じた。眞人は慌てて、それを掴み取って走る。このままじゃ、自分が犯人にされる!
きっと誰かに頭を鷲づかみにされた時に、このカツラを被せられたんだ! 誰かが自分を陥れようとしている。
でも、一体、何の為に?
眞人は、無我夢中で廊下を走り、ひとけのないB棟に入る。突き当たりを左に曲がろうとしたところで、急に後ろから誰かに顔を抑えられた。別の男が横から現れて、両腕を掴まれ、そのまま近くの教室へと無理やり連行される。そこは、今は使われていない教室で、中は物置と化していた。一昔前の古びた机や椅子などが教室の隅から中間くらいまで、びっしりと積み重ねられている。ベランダ側と廊下側の窓には黒いカーテンが全て閉められていて、中は薄暗かった。
眞人の正面に男が一人、その後ろに眞人の顔を抑えた何者かが一人。この部屋にいるのは、眞人自身を含め三人しかいなかった。誰かに助けを求めることは出来そうにない。
「ん、んんんんん!」眞人は、何をするんだ! と正面の男に言おうとするが、後ろの誰かから口を塞がれていて言葉にならなかった。
「静かにして。見つかっちゃう」
眞人の口を両手で塞いでいる人――その声からして女子がそう言った。
「安心したまえ。我々は怪しい者だが、お前に危害を加える者では決してない」
男が教室のドアを閉めると、宥めるようにそう言った。
「ん、ん、んんんんんん!」
じゃあ、この手を放して。と眞人は男に言う。
「部長、そいつが苦しそうだ。放してやろう」
男にそう言われ、女子が渋々と手を放した。ぷはっと溜まりに溜まった息を、一気に吐き出すとささやくように言った。
「何するんですか」
「あなたを助けてあげたのよ」
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