みにくいあひる

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月日が経ち、子どもだったその人は生まれ故郷を訪れました 人の足は自然と、子どもの頃よく遊んだ池に向かいました あひると遊んだあの池に、ふらりふらりと向かいました そこで、黒いかたまりを見つけました かつて、あひるだったそれを見つけました 人がそれを見つめた瞬間、 それは白い白い花を咲かせました たった1輪咲かせました 美しく咲いたその花はあっという間に散りました ひらりはらりと散りました 人は、花が一瞬だけ笑ったような気がしました こちらに向かって微笑みかけた気がしました 季節になるとその池には、 今でも白い花が咲くそうな たった1輪咲くそうな
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