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「うへへへへ~」 女の子の前に男が立っていた。 雑に禿げた頭に汚れたジャンパー、寒気がするような笑みを浮かべながら女の子達ににじり寄っている。 時折変質者が出没するなんて話を聞いたなぁ、と風間は思った。 男と女の子達の距離は徐々に縮まっている。 悠長にそんなこと思っている場合ではない、風間は男に向かって駆け出した。 「おい! そこの――」 「ゆうちゃーん! あっちゃーん! 待ってぇ~!」 意を決した風間の声よりも大きな声がした。 道の向こうから走ってくる女の子が一人。 くせっ毛の前髪をモフモフ揺らし、オレンジのマフラーをなびかせながら再び友人達の名前を叫んでやってきたのは、ひまわりだった。 「もぉ、トイレ行くから待っててって言ったじゃんか~」 「だってひまわりトイレ終わったらなんか変な歌歌って踊ってたんだもん」 「そうだよ。また長くなりそうだったから先帰っちゃおうと思って……」 友人達の言い訳にひまわりは膨らませた頬を緩めない。 あれはトイレから出てきた時リクエストされたのだ、とひまわり。 もうそんなことにイチイチ応えなくてもいいんだよ~、と友人二人。 盛り上がる女の子達に取り残された風間と、変質者。
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