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透明なビニールで包装されたそれを取り出し、引き出しを閉める。 部屋の中心でそれを掲げてひまわりはポツリと言った。 「お兄ちゃん」 写真で見たしんのすけの姿をそれに重ね合わせると、それの輪郭が少しぼやけた。 帰り際に風間に言われたことを思い出し、鼻をすすった。 「アタシとおにいちゃん、似てるんだってさ。風間さんが言ってたよ」 ひまわりはそれに書かれた汚い字を眺めて、笑った。 ビニールに入ったしんのすけからの手紙を抱きしめて、涙がこぼれた。
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