第一章

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――温かい。 ケンが目を覚ますと、さっきまで場所とは違う所に居た、一体ここはどこだろうか。 煉瓦で出来た壁に動物の皮で出来た敷物、木製のタンス‥中心にはメラメラと火を焚いている囲炉裏、結構広い。 どうやら誰かが寝ているところを運んできてくれた様だ‥、ケンは寝ていた体を起こす。 「良かった、人が居るんだな~」 周りには出入口と思われる扉が一つ、恐らくこの家は部屋が無いのようだ。 その木製の玄関扉に手を掛け外に出ると辺りは暗闇に包まれていて、どこからかの虫の鳴き声が響く静かな夜になっていた。 こんな暗いときに出歩くのも危険だろう、とりあえず朝を迎えるまでこの家にいることにした。 全く見ず知らずの場所、親は心配してないだろうか‥、不安が段々大きくなってきた。 室内に戻り囲炉裏の前で座る、するとタンスで見えなかったが横に木刀が立て掛けてあるのがわかった。 近くまで行き手にとると、初めてその重さに気付いた。 「結構重いんだぁ~」 眺めていると好奇心が湧いてきて、木刀を持ち再び外に飛び出した。
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