プロローグ

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いつもと変わらない朝の光が今日も茶髪頭の彼を照らした。 彼の名は『井上ケン』 窓から入ってくる綺麗な色をした光の柱は、丁度良く顔に当たる。 体を起こして背伸び、目覚まし時計よりも目覚めが良い日光は正直嫌いだ。 避けるようにベッドから降りて自分の部屋を出る、そして一階への階段を下っていく。 階段を下るといつもと同じように台所の方からベーコンのこんがり焼けた香ばしい匂いが鼻を抜けた。 「‥おはよう」 少しボケーッとしながら皿の並べられた木製テーブルへ向かった、そして自分の特等席へ。 この特等席からはテレビが丁度観やすく、邪魔な日光にも当たらない最高の場所。 母が台所からフライパンを持ってこちらに向かってきた。 そのフライパンの中にはこんがり焼けたベーコンが脂で輝いていた、太陽よりもこっちの方が絶対綺麗だろう。
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