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その後も皆から袋叩きにされ、十分に気が晴れたところでゴウ達は帰っていった。
「だ、大丈夫かケン‥」
「だ、大丈夫なわけないじゃん」
二人は痛い傷を押さえながら立ち上がり、のそのそと校門をくぐって近くの公園に向かった。
血の滲んだ傷を押さえながらベンチに座るとそこから丁度紅い夕日が見えた。
空も紅く染まり幻想的な世界が広がっていたが、傷の痛みですぐに視線は傷の方へ。
「あんな奴等に負けるなんて‥、悔しいな」
隣に座るリュウが夕日をじっと見詰めながら、ケンにだけ聴こえる声で呟く。
「う‥うん」
「何で、俺は弱いんだろう」
初めて彼の口から弱音が出てきた、ケンはそれに悔しくなったのか声を大にして答えた。
「リュウは弱くないよ!アイツ等は力が強いだけさ!」
「力が結局は全てなんだ!!」
「‥‥!?」
ケンよりも大きく悲しそうな声で叫ぶ彼の目には、夕日に光る何かが溢れていた。
リュウはそのまま何も言わず公園を出ていき、振り返ることはなかった。
あんな彼は初めて見た、ケンもリュウと同じ様に力が全てなのかも知れないと少し思った。
もし力があればいじめられないし、誰かを助けられる。
ケンは弱そうな握りこぶしをベンチに叩きつける、ものすごく痛いが心の痛さに比べれば‥ケンは何度もベンチを叩いた。
拳が赤く血を流し、夕日が沈む‥。
ケンは静かに立ち上がり公園を出ていき、肩を丸めながら家路を歩いた。
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