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「これはこれは、まことに異な事を申されるな林殿。古来より籠城とは援軍あってこそのもの。此度の戦で我が織田家に味方してくれるところがあるのだろうかの。」
「くっ、柴田殿か。では、柴田殿は野戦にご賛成か?貴殿は暴れたいからそう申しておるのだろう。儂は御家の先を考えて籠城をと申しておるのだ。そこの所をよく考えてから申して欲しいものよ。」
勝家の意見を見事に切り返した通勝は勝ち誇った様な顔になり、逆に勝家の顔は怒りで真っ赤になってゆき、額には青筋が浮き上がりだし大きく息を吸い込んだ。
「何を申すか!敵は30000の大軍ぞ。それに対し、我らは全兵力をもっても5000。しかし、その実は各地での守りで割かれ、この清洲の兵は多く考えても3000にも満たんのじゃ。これで守り通せると思うておるのか?」
突然の勝家の咆哮に、通勝はおろかそこにいた者全員が驚いている。
(なにっ?こやつはいつからここまで頭がまわるようになったのだ。まぁよい、貴様はしょせん猪武者だと言う事を教えてやろう。)
勝家を言い負かせる案でも思案したのだろうか。
通勝は再び笑みを浮かべながら、口を開いた。
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