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「よいよい、気にするな。なぜ、その様に怒っておるのだ?」
人の良い長秀は真ノ助の無礼を気にする事なく、その理由を問うた。
「実はーーー。」
真ノ助は先程の一件を長秀に熱く説明し始めた。
初めは自分が放置されたことの説明だったのだが、次第にヒートアップし、 関係ない話までする始末。
これには、さすがの長秀も呆れ顔である。
(これは一回説教してやった方がよいかの、、、こやつは血の気が多すぎるし。)
「そうかそうか、たしかにそれでは腹をたてるのもわかる。」
「おお、分かってくれますか。さすがは長秀様じゃ。」
「だが、お前はもうお館様の側仕えじゃ。その様にすぐ感情に流されてはいかん。もっと冷静に判断せねばならんぞ。」
あの温厚な長秀に説教されると思ってなかった真ノ助は驚きを隠せずにいた。
だが、その言葉の意味を理解した真ノ助は長秀の目を見て返す。
「まことにその通りですな。側仕えである私が落ち着いていなければ、いざという時にお館様を守れませぬな。長秀様にはいつもお助け頂きかたじけのうござります。」
「うむ、やれば出来るではないか。それでこそお館様の側仕えであるぞ。」
(よし効いたか。こやつはこの先必ずや織田家に必要な者となるはずじゃ。はよう立派な士にせねばならん。)
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