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…この前、冒険者ギルドに行った時も、どこの輪にも入れず部屋の隅に立っているだけだったし…
それでも、地味ではあるが小柄で色白なサヤに、数人の男たちがからかい半分で声をかけてきたのだが、サヤの小さな返事は聞こえないらしく、皆 肩を竦めて去っていった。
………でも、やっぱり冒険者にはなりたいしなぁ。
勉強が好きなサヤは、教会に籠もっているよりも、外の世界を見る事に興味があった。
自分が身に付けたスキルや術も試してみたい。
武器さえ扱えれば1人でも冒険に出られるかもしれないと考えたのだが、サヤには子供の頃から運動神経というものがない。
冒険は諦めて、一生涯 村の小さな教会で生きていくしかないのかもしれない。
…それでも、内気な私じゃ村人達の前で教えを説くことすらまともにはできないんだろうな。
今夜はどうにも後ろ向きな考えしか浮かんでこない。
「そもそも、私にできることなんか…」
溢れた涙を拭った時であった。
サヤは周囲に、何か邪な気配を感じた。
聖職者としてはかなりの修行を積んでいる。
低級な霊や魔物は自分に近寄れるはずがない。
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