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キースはしばらく飛行すると、森の中にある古城に降り立った。 まだ世界が平和だった頃、どこかの貴族が建てた別荘だ。 人が住めなくなってからたった百年足らずで、すっかり廃墟の様を呈していた。 「人間と違って俺たちはこういうジメジメして暗いとこが好きなんだよなぁ~」 そう言いながら、かなり乱雑にサヤをバルコニーに下ろした。 「わっ!」 ドスンと尻餅をついたサヤは、そこでやっとキースの姿を確認することになった。 「あ゛ーーーっ!!!!」 目の前にいる魔獣の姿におののくサヤよりも先にキースが叫ぶ。 「ひっ!」 「なんだー!お前 女だったのか?!どうりで軽いと思った。」 しげしげとサヤを見るキース。 サヤよりも遥かに大きな体躯。 二本の足で立ち、ながい腕や五本の指は人間のそ腕や五本の指は人間のそれと変わらないが、体中を覆う灰色の体毛や、顔は殆どオオカミだ。 背中から生えている巨大な翼はコウモリの羽に似ていた。 「あ………あの…」
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