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恐怖を感じながらもサヤは必死に助かる術を逡巡し、声をかけた。
「あ…あなたの……左耳…に…」
ささっている矢は、おそらくサヤが放った物であろう。
「ん?コレか?…………あーーっ!そっかそうだなっ!」
サヤが話すよりも早く内容を察したのか、キースは早口でまくしたてた。
「早くとってくれよ。こんなもんカッコ悪いからさ。」
サヤが放った矢は破魔の力が込められている為、魔獣のキースでは引き抜くことはできない。
………破魔矢が刺さってるなら力が弱まってるはずなのに、こんなに強いなんて…
普通に戦っても勝てそうもない。
「それでは………………きゃあぁああっ!」
矢を抜く代わりに街まで帰らせてと言い終わるよりも前に、キースの長い爪が、サヤめがけて振り下ろされた。
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