狼と俺

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もしこれが主人公だったら、お調子物な弄られキャラな仲間が依頼をゲットしてきたり、荒くれ者から女の子を救って周りが注目して自然と場所を退いてくれるんだろうな。 ってか掲示板見に来るなんて行為さえ中々ないだろう。 ギルドマスターあたりから直々に依頼を言い渡されるだろうし。 まぁ回避不可能+危険な依頼になる事間違いなしだからデメリットもあるけどな。 そこは主人公補正で意図もサックリ倒してしまうんだろうけど。 それで女の子に惚れられたり、男友達と友情を高めたりとThe青春って落ちが待っている。 …やっぱり主人公ってずるいわ。 「まぁ、する事ないし森の散策でもして行動範囲増やすか…。」 は?っと思う人もいるかもしれないが慎重派の俺からすれば当たり前の事だ。 実は依頼は失敗すると違約金が取られる。 その額は一般人からすればとるに足らない程の少額だ。 だがホームレスな俺にとってその額すら寝床がベットかギルドの硬いソファかを左右するものだ。 前に一定の時期にしか生えない薬草の採取依頼を時期外れだというのに受けてしまい、泣く泣く違約金を払って硬いソファで寝た事は一生忘れない。 まぁそんな訳で下調べしておかないと馬鹿を見るから暇な時は行動範囲を広げ、なるべく高額で取引される採取素材の発見や分布図を作っている。 こんな時RPGでよくある歩くだけで分布図が拡がるような地図が欲しくなる。 俺はギルド員なら誰でも借りる事が可能なナイフと、麻の袋を通学カバンに入れ、町から一番近い森を目指した。
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