狼と俺

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ついに奴との距離が近づき、先程の閃光の射程まで縮まる。 つまり俺が逃げようとしてもすぐに攻撃されるだろう。 逃げられない=俺、終了のお知らせ。 そんな絶望に満ちた俺を更に追い詰めるつもりか閃光は使わず、嗜虐的な笑みを浮かべ俺の目の前までの歩みを止めない。 …これって夢じゃないよね? むしろこの一ヶ月が夢だったって落ちだといいんだけどさ。 こんな長い夢見てたから珍しく遅刻して、それを征司に馬鹿にされて、ムカつくからその後暫く征司の助けを無視して、助ける代わりに奢らせて…なんてつまらない、だけど平和な、平凡な、 俺の大好きな日常に戻って欲しい。 すっ、と男の腕が持ち上がる。 剣の切っ先が怪しく煌めく。 男が剣を俺の首に添えた。 剣の硬く冷たい感触に身体に力がはいる。 だけど極限の恐怖が続いた為なのか? 自分がこれから殺されるだろうになんとなく今の現状を他人事のように感じた。
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