少年と俺

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部屋全体を慌てて確認するがやはり見当たらない。 「くっ、とにかく探さないと!」 日本にいた頃はこの程度の事で慌てる事はなかったが、それは帰る家があったし本当になくなって困るもんなんてなかった。 財布も携帯も通帳も大切だしなくなったら死ぬほど困るが、実際はそれで死ぬわけはない。 だが、この世界は違う。 頼る人もない。 だから俺にとっての全財産にあたるカバンを失くせば、それは死に値するかもしれない。 無駄に考え過ぎではあると思うが、ぶっちゃけ知らない誰かを頼れる程純粋に人を信じることが出来なくなっていた。 この一ヶ月間誰にも助けてもらえない状況にすっかり人間不信に陥っていたから。 ベットから跳び起き、なるべくまわりの本の山を崩さないよう気を付けながら扉を出ようとする。 ガチャ。 「うぁ!?」 すると突然扉が開き、人が出てきた。 慌ててた俺は脚が止まらずその人とぶつかってしまった。
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