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あれから私たちは駅で別れた。
ましろは左手首を軽く捻っただけみたいで、大ケガがなくてよかった。
別れ際までずっと笑顔でいたけど、相当傷ついてるよね‥‥。
「それにしても、美奈は何がしたいんだろう‥‥」
洗濯物を畳ながら1人呟く。
美奈は隣のクラスの中心的存在。
綺麗な人なんだけど、性格がキツくて男子からの評判はイマイチらしい。
ましろの噂流してるのはきっと美奈だ。
けど、2人に接点はないはず‥。
「いったい、何がいけなくてこうなったんだろう‥」
入学して1週間程経ったある日、私は美奈に昼休み倉庫の裏に呼び出されていた。
『白田ましろと仲いいよね?』
『それが何?』
『知ってる?気さくで明るく振る舞ってるけど、かなり男遊び激しいの』
必然的に私を壁に追いやり、美奈と数人の仲間が囲むように話す。
『だから、あまり一緒にいない方がいいわよ』
『ご忠告ありがとう。でも、それは私が決めることだから』
ダンッと音がして、目を瞑る。
私の左側に、美奈の手。
壁に手をついたんだと悟り、目をゆっくり開いた。
息が顔にかかるくらい、苛つきを隠せない怒りに歪んだ美奈の顔があった。
『アンタがその気なら、こっちにだって考えがあるから』
スッと離れ、美奈達は教室に戻っていく。
私はカクンとその場に座り込んだ。
怖かった‥‥。
強気に振る舞ったけど、あんなに迫力あったら流石に怖い。
私は震える手で身体を抱き締める形で教室に戻っていった。
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