episode.1

7/17
148人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
「唯ー、帰ろうー」 「うん。あ、今日からバイトなの」 放課後になり、私はましろと廊下を歩く。 口には、甘いオレンジ味の飴。 「そうだったね!スーパーのレジだっけ?」 「うん。でも1回家に帰ってからだからいつも通り一緒に帰れるよ」 「やった!給料入ったら駅前の1番高いクレープ奢ってね!」 えーと言いつつ、ましろのウキウキした笑顔には負ける。 綺麗なモデル並の顔立ちに、振り返らない人はいないくらい。 無邪気で可愛くて、 本当ましろには敵わない。 「ましろ、危ないよ」 「へーきへーき!」 ましろは小走りで階段をかけ降りる。 それを見失わないよう私も追いかける。 あ‥‥、 あの人‥‥。 「きゃっ‥」 「ましろっ!」 パシッとましろの腕を掴み、階段の手すりに捕まった。 引っ張った反動で後ろに倒れこむように座る。 危なかった‥‥。 「ったー‥‥」 「ましろ、平気?」 「あら、大丈夫だったー?」 クスクスと頭上から笑い声がし、キッと睨んだ。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!