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一日目 夜 初めての死
某月某日俺は殺された。
誰ともわからない人間の完璧な策略により。
体から血の気が引くのがまるで見ているかのようにわかる。
鼓動は釣り鐘のようにバクバクと鳴っている。
それは死の恐怖とも、相手に対する怒りからの興奮とも言えるだろうか。
痛いよりも先に何故。
苦しいよりも先に何故。
辛いよりも先に何故。
分からないから何故。
何故何故何故!!俺が何をしたって言うんだ!!
「う…………あ………」
叫ぼうにも声がでない。口からはコヒューと風のような音が微かにするだけだった。
「すまないな…………だが、俺とてこんな人生で終わりたくはないんだ」
虚ろになる意識のなか声が聞こえる。
どちらかというと、青年のような清らかな透き通った声だ。
英語で言うならばクリアーボイスだろう。
「う……………」
動かない首を無理矢理に動かし、犯人の顔を睨み付ける。
「大丈夫だ。未だ死んだ訳じゃない」
何を言ってんだ。こいつは。
「いいかい?良く聞くんだ」
クリアーボイスが頭にキンキンと叫ぶ。
「この村には、『転生の儀式』と言われるものがあるんだよ」
てん……せい?声はしないが口がそう微かに歪む。
「そうさ」
そんな動作を読み取ったのか、奴はカツカツと舗装されてない砂利道を左右にゆっくり移動しながら、コクコクと頷いている。
「転生さえすれば、君の死は無かったことになる。永久的にね」
どう言うことだ。心のなかで念じる。
すると奴はやはり、それを感じ取ったのか話始めた。
「説明は難しいかな……なるものはなる。っな感じさ。とりあえずだ、輪廻の儀式に乗っとり、誰かこの村の住人、それも人生を未だ半分生きていない奴を殺せばいい。殺害方法は何でも構わない。焼殺・撲殺・射殺・斬殺なんでもだ。結果が人間の死に繋がればな」
どうやりゃ、半分生きていない奴を見分けられる。
「幽霊の直感さ。勘は口よりものを言うって言うだろ?」
それは違うだろ。
「一目見ればわかるよ。赤黒いのは死が近い奴。神々しいのは、未だ死なない奴。それだけさ」
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