一日目 朝 新たな日々

1/6
前へ
/28ページ
次へ

一日目 朝 新たな日々

「ん…………ああっ」 俺のまぶたの裏にまで光が差し込んでくる。 「朝……………っ!!怪我は!?」 脇腹にそっと手を当てる。が、そこには痛みがない。と、言うかだ。 「体が………………やっぱり、夢じゃ終わんないんだな」 感覚がない。確かに、手や足がある感じはする。 が、それが何かに触れる感覚はしなかった。 「幽霊ってこんな感じなんだな………」 いや、感想を述べてる場合じゃない。 このままでは、殺すどころか動くことも出来やしない。 「何をどうすれば………」 しかしだ、感覚はあるから恐らく歩けはするんだろう。 そこで、感触のない足を動かしてみる。想像上だが。すると以外にも、目に映っていた風景が動いた。 「なるほど………感覚はなくとも、足や手があることには違いないんだな……」 苦労はしそうだな。なれるまで。 「仕方ない………。まずは宿屋に行くか」 昨日、あんなことがあったため未だに宿屋には行っていない。 まずは、行く前に服をどうにかしないとな………血だらけじゃ何を思われるか解んないからな。 幸いにも近くに水の流れる音がする。 そこで、服を洗おう。この体なら、濡れてても気になんないし、聞かれたら川に落ちたと言えば良いしな。 善は急げだ。 先程の要領で、走るような感じで土を蹴った想像をする。やはり、驚くように前に進む。 次第に川の音は大きくなり、視界の開けた場所に出た。 そこは、浅くも深くもなく子供たちが遊ぶにはもってこいの場所だろう。 取り敢えず服を脱ぎ、傷を確認する。 すると以外にも、傷はなく血も着いていなかった まあ、余計な心配されないだけ良いか。いや、死人だけど。 「はぁ………一週間か。それまでに人を殺せ……ね」 それは、シンプル且つ簡単な命令だ。死にたくないなら殺せば良い。それだけだ。言うなら、殴り殺しゃ終わる。 簡単なんだよ。人を殺すだなんて。ただ、行動を起こすまでに時間が必用なだけで。 「くっそ…………俺が何でこんなことに巻き込まれなきゃいけないんだよ………」 奥歯をギリギリと噛み締める。無論感覚はないが。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加