4人が本棚に入れています
本棚に追加
一日目 朝 新たな日々
「ん…………ああっ」
俺のまぶたの裏にまで光が差し込んでくる。
「朝……………っ!!怪我は!?」
脇腹にそっと手を当てる。が、そこには痛みがない。と、言うかだ。
「体が………………やっぱり、夢じゃ終わんないんだな」
感覚がない。確かに、手や足がある感じはする。
が、それが何かに触れる感覚はしなかった。
「幽霊ってこんな感じなんだな………」
いや、感想を述べてる場合じゃない。
このままでは、殺すどころか動くことも出来やしない。
「何をどうすれば………」
しかしだ、感覚はあるから恐らく歩けはするんだろう。
そこで、感触のない足を動かしてみる。想像上だが。すると以外にも、目に映っていた風景が動いた。
「なるほど………感覚はなくとも、足や手があることには違いないんだな……」
苦労はしそうだな。なれるまで。
「仕方ない………。まずは宿屋に行くか」
昨日、あんなことがあったため未だに宿屋には行っていない。
まずは、行く前に服をどうにかしないとな………血だらけじゃ何を思われるか解んないからな。
幸いにも近くに水の流れる音がする。
そこで、服を洗おう。この体なら、濡れてても気になんないし、聞かれたら川に落ちたと言えば良いしな。
善は急げだ。
先程の要領で、走るような感じで土を蹴った想像をする。やはり、驚くように前に進む。
次第に川の音は大きくなり、視界の開けた場所に出た。
そこは、浅くも深くもなく子供たちが遊ぶにはもってこいの場所だろう。
取り敢えず服を脱ぎ、傷を確認する。
すると以外にも、傷はなく血も着いていなかった
まあ、余計な心配されないだけ良いか。いや、死人だけど。
「はぁ………一週間か。それまでに人を殺せ……ね」
それは、シンプル且つ簡単な命令だ。死にたくないなら殺せば良い。それだけだ。言うなら、殴り殺しゃ終わる。
簡単なんだよ。人を殺すだなんて。ただ、行動を起こすまでに時間が必用なだけで。
「くっそ…………俺が何でこんなことに巻き込まれなきゃいけないんだよ………」
奥歯をギリギリと噛み締める。無論感覚はないが。
最初のコメントを投稿しよう!