空のむこう

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その後も、不思議と見覚えのある道を通り、何故か見慣れた彼女の家のドアをくぐった。 「でもやっぱりおかしくないか?2人は偶然すれ違って、偶然同じ映像が頭に流れた‥なんてにわかにも信じがたい。」 「とりあえず映画を観ましょ…そしたら、全て思い出す…」 そう、僕も同じことを考えていた。というより、知っていたのだ。この映画を観れば、全ての過去を‥思い出すことに…2人は気づいていたのだ。 「ねぇ‥どうするの!?」 美奈はそう叫びながら、僕の腕をしきりに揺すった。 当時僕らは、同じ研究施設で働く従業員だった。 その施設で研究していたものは、人の記憶を操り、支配する軍事用の研究だった。 その研究が成功すれば、相手国の人間を拉致し、情報を聞き出してから仲間にすることが可能だ。 しかし、それは極秘任務だった。研究員達にも真実を伝えず、ただその真実を知っている博士に従い、僕達は日々働いていた。 そんなある日、僕達は偶然、博士と軍人の話しを聞いてしまった。 だから行動したのだ。 火災報知器を鳴らし、研究員達と博士を全て外に避難させた後、その研究施設を爆破した。証拠は残らないはずだった…しかし…何故か博士にはバレていたのだ。 施設を爆破して3日が経ったその日、博士は彼女の家に押し入った。僕達は昔から同居していたため、もちろんその日も僕は彼女の家にいた。 「貴様ら、知ってるぞ!ははは、監視カメラのビデオで知ったんだ!残念だったな、監視カメラの映像を録画する場所は施設の外にあるんだよ!」 博士は目を見開き、涎を床に垂らしながら僕達に迫った。 丁度僕達は台所にいたため、僕はそばにあった包丁を手に取り、博士に向けた。 「人の記憶はその人の財産だ!それを奪う権利は誰にも無い!」 「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ!!300万ドルだぞ?300万ドルが水の泡だ!!300万ドルあったら何が出来ると思う?分かった。100万ドルやろう、君達が持ち出したサンプルを渡しなさい」 「断る!このサンプルは、人の記憶を3年分消すことができる。だから僕達の記憶を消す!目覚めた時、僕は誰になってるかな?」 博士はほどほど痺れを切らし、僕達に襲いかかった。 「クソがああああ!!」
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