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そう、十億。そんな信じられない額がその通帳には紛れもなく刻まれていた。
「ではな。もう会う事も無いだろう」
そう言って俺をクビにした男が出ていく。
「まじかよ…………」
部屋に一人取り残された俺は、そんな事を呟いて呆然とする。
「十億、か。凄い額だな」
そういえば、と思い出す。
「ここ最近、仕事が忙しくてアニメもゲームも何もやっていなかったな」
そして閃く。
「こんだけ金あんなら……」
俺以外誰も居ない部屋で、俺は。
「俺、ニートになろう」
駄目人間宣言をしたんだ。
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