序章

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「今日もたくさんいらっしゃいますね」 男とも女ともとれない声が荒野に響く。 その声の主は、たくさんの魔物の中心に悠々と立っていた。 金のラインがプリントされた、純白のローブが翻る。 目深に被ったフードから、一瞬だけ覗いた口元は、余裕の笑みを浮かべいた。 「舐めてんのか、小僧?」 魔物の1体が、牙を剥きながら威嚇する。 「逃げるなら、今のうちですよ?」 クスクスと、ローブの人は笑う。 「こんの野郎ォォォ!!」 激昂した魔物達が一斉に飛び掛かる。 「実力の差を見切れないとは……。可哀想ですね」 「な……に……」 魔物達は、ぼとぼとと地面に落ちる。 彼らの心臓には、剣を始めとする、様々な武器が1つずつ刺さっていた。 「まさ……か……」 最後まで言えず、魔物は息絶える。 彼らの亡骸は灰になり、風に流され、荒野へと散らばって行く。 『マスター、迎えに来ましたぜ』 バサッバサッ、と羽音を立てて、橙色のドラゴンが白いローブを着た人の隣に降り立つ。 「いつもありがとうございます、ディーロ」 『マスターの為なら何処へでも。それが俺の生きざまでさぁ』 人は、ドラゴンの喉を軽く掻いてやった後、その背中に飛び乗った。 『そんじゃあ、行きますよ!』 再び巨大な翼を羽ばたき、彼らは自分達の家に向かって飛び立った。
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