1030人が本棚に入れています
本棚に追加
/383ページ
「今日もたくさんいらっしゃいますね」
男とも女ともとれない声が荒野に響く。
その声の主は、たくさんの魔物の中心に悠々と立っていた。
金のラインがプリントされた、純白のローブが翻る。
目深に被ったフードから、一瞬だけ覗いた口元は、余裕の笑みを浮かべいた。
「舐めてんのか、小僧?」
魔物の1体が、牙を剥きながら威嚇する。
「逃げるなら、今のうちですよ?」
クスクスと、ローブの人は笑う。
「こんの野郎ォォォ!!」
激昂した魔物達が一斉に飛び掛かる。
「実力の差を見切れないとは……。可哀想ですね」
「な……に……」
魔物達は、ぼとぼとと地面に落ちる。
彼らの心臓には、剣を始めとする、様々な武器が1つずつ刺さっていた。
「まさ……か……」
最後まで言えず、魔物は息絶える。
彼らの亡骸は灰になり、風に流され、荒野へと散らばって行く。
『マスター、迎えに来ましたぜ』
バサッバサッ、と羽音を立てて、橙色のドラゴンが白いローブを着た人の隣に降り立つ。
「いつもありがとうございます、ディーロ」
『マスターの為なら何処へでも。それが俺の生きざまでさぁ』
人は、ドラゴンの喉を軽く掻いてやった後、その背中に飛び乗った。
『そんじゃあ、行きますよ!』
再び巨大な翼を羽ばたき、彼らは自分達の家に向かって飛び立った。
最初のコメントを投稿しよう!