プロローグ

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人と人の争いはいつだってよい結果をもたらさない。 敗戦国は、勝戦国に多額の賠償金を払わなければならない。 戦争という名の嵐の前に人は、小さく、命は軽く、儚い。 人は永遠に争いを繰り返さないよう、地球という名の惑星をひとつの国家として、集まり始めた。EUヨーロッパ連合から始まった統一化の動きは、南北アメリカ、アジア、アフリカ、オセアニアへ広がり2135年には、今現在で州と呼ばれる、地域の区切りにまで世界纏まった。 しかし、世界が統一化する事を望む者が居れば、統一化する事を望まない者も居る。人間は言葉を持つ生物だ。ほとんどの場合は話し合いの場で解決するが、解決しない場合、人々は手に武器を持ち争った。一度争いが起こると、その飛び火は世界におよぶ。これが後の時代に世界統一化戦争と呼ばれる戦争にまで発展した。 2149年10月10日にようやく終結した。 しかし、世界中にある争いの火種をすべて消した訳ではなかった。 2150年1月1日世界は統一化され、有史以来もっとも大きな国家、地球国が誕生した。それと同時に軌道エレベータという、地表と宇宙を結ぶ建造物が開設した。その建造物は静止軌道上で、地球を囲む輪の形をした構造物で繋がれた。軌道エレベータから月と火星に移民し始めた。 人々は肩を叩き合い、ハイタッチなどをし喜びを分かち合った。 だがそれは同時に悲劇を生んだ。液晶画面越しに、地球国政府大統領の演説を、人々が見守るなか、大統領はテロ集団によって暗殺された。 時代の流れが変わっても人の行いは変わらなかった。
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